一般・福祉関係の皆様

褥瘡について

褥瘡とはなんでしょうか?

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

褥瘡はなぜできるのでしょうか?

私たちはふつう、無意識のうちに眠っている間は寝返りをうったり、長時間椅子に座っているときはお尻を浮かせるなどして、同じ部位に長い時間の圧迫が加わらないようにしています。このような動作を「体位変換」といいます。
しかし自分で体位変換できない方は、体重で長い時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより「褥瘡」ができます。また皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。

褥瘡はどんな人がなりやすいのでしょうか?

自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすいといえます。
褥瘡になりやすいため注意しなければならない病気として、うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患があります(注1)。

褥瘡の発生と関連のある疾患
上図:褥瘡ガイドブック 第2版(照林社、2015年)p149より引用

注1:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ4.1(推奨度C1)

褥瘡になりやすい体の部位はどこでしょうか?

骨が突き出した部位は強く圧迫されて、褥瘡ができやすくなります。褥瘡のできやすい部位は、寝ているからだの向きや姿勢によって違ってきます。

上図:日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック第3版. 照林社. 2015より引用
上図:日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック第3版. 照林社. 2015より引用

褥瘡の前ぶれはどのような状態でしょうか?見分け方はあるのでしょうか?

褥瘡のできやすい部位の皮膚が赤くなっている場合、それが褥瘡であるのかを確かめる方法に、人差し指で赤くなっている部分を軽く3秒ほど圧迫し、白っぽく変化するかどうかを確認する方法があります(指押し法)。押したときに白く変化し、離すと再び赤くなるものは褥瘡ではありません。押しても赤みが消えずそのままの状態であれば、初期の褥瘡と考えます(写真1)(注2)。

写真1
写真1

注2:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ7.3(推奨度C1)

褥瘡かもしれないと思ったらどうしたら良いのでしょうか?

赤い色味をおびた皮膚が圧迫されないよう体位交換をします。手を入れて圧迫されていないか確認するのもよいでしょう(写真2)。圧迫をとっても指押し法などで褥瘡の可能性があると考えられた場合は、医師または看護師に相談するのがよいでしょう。

写真2
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